2015年2月26日木曜日

2015-02-07 LCK Spring2015 W5D3 JIN AIR vs CJ Entus

http://matchhistory.na.leagueoflegends.com/en/#match-details/TRKR1/470115?gameHash=2073ec36d1ffa6b9&tab=overview

総括
非常に長い試合であり、現在のメタゲームの極致とも言えるゲームであるため、重要なポイント、結論を先にまとめてからゲームの内容に入っていく。

・序盤のJunglerの役割→Vision control>Gank>Counter jungle
非常に多くの理由がある。現在mid lanerがとても強力なメタである。なぜなら、大きなkillが発生しなければ10分~25分頃まではmid lanerが最も強力なダメージソースであり、Dragonfight、及び中盤のJungle内の戦闘においてそのstatsが勝敗を左右するからだ。
そして、中盤のTeamfightの勝敗はその後のMap controlに繋がり、勝利したチームのSnowballへの大きな足がかりになる。
そのためには、彼我のmid lanerに致命的な能力差を作らないことが重要である。

・中盤のTeamfightの重要性
Season5において、Dragonから得られるものはGlobal goldではなく永続のBuffになった。
それによって、全体的なチームの収入が下がり、JunglerはよりGankによるKill/Assist、中立Creepに収入を頼るようになった。
Jungleは非常に重要なObjectになったと言っても過言ではなく、1st towerが脆くなったという変更も合わせて、序盤から中盤にかけてTeam全体のWarding、Jungleの掌握が大きな鍵になったと言えるだろう。
その中でやはり、Dragonのstackというのは戦略的重要性が極めて高い。
ひとつひとつのBuffは数字で見れば大した効果を持たないが、それらを管理し続けた場合のアドバンテージは非常に大きく、また相手に対してこちらが有利な交換を押し付けることができる。
そして純粋に火力に寄与する1st buffを得る、もしくは渡さないためのDragonfightに勝利した場合。火力と装備、更には敵Jungle深くに安全にWardingできることによるRotateの有利を得ることができるため、中盤のDragon、もしくはそれと他のObjectを交換した上でのTeamfightが非常に重要となる。

・Laning phaseについて
以上のことから、Laning phaseにおいて作った有利は中盤のTeamfightに大きく働く。
swap戦術やTop lanerのlv2先行のためのJunglingも、最序盤が弱いがそれ以降非常に強力になるChampionをPickする上で重要なファクターだ。

・minion waveとvision control
この試合を分けた2つの大きな要素である。JIN AIRは徹底して、大きなObjectの前にはpushレーンを作り、睨み合いを続ければtowerを確保できる状況を作っていた。
集団戦において同じ人数の交換をすれば、towerの分有利になるようにしていた。それによって、更なるwaveのcontrol、そして敵Jungle内の視界を得て、常にminionと視界のプレッシャーを与え、戦わずしてNexusに迫ることができたのである。
※Cocoの競技シーンCS記録は、JIN AIRのwave controlによって、minionを迅速に処理する必要に迫られたためである。

以上がメタゲームにおける大きな要素の総括だ。
現在、EULCS及びNALCSの上位チームが1-3-1 split push戦術を多用している理由もおそらくは同じであると思われる。

それでは、時系列順、まずはBAN/Pickから見ていく。



BAN/Pick

Trade前=Pick順。













JAG 1st
LeBlanc→CocoへのTargetBAN。GBMが育つためのBAN。
CJE 1st
Lissandra→Flex Pick。AoE Compへのカウンター。
JAG 2nd
Dr.Mundo→アンチAP、アンチGBM。前回Shyが素晴らしいパフォーマンスを見せたため。
CJE 2nd
Lulu→Flex Pick。Carryを守ることに長けているため。
JAG 3rd
Kassadin→アンチGBM。Pick-upに長けておりLate game carryでもある。
CJE 3rd
Rek'Sai→Mobility、Pick-up、Middle game controlに優れる。

お互いの思考を簡潔に追っていく。
JAG、swapもでき、compへの対応力の高いGnarをPick
CJE、WOMBO COMBO、中盤のPokeやAll-inが非常に強力なJ4とCorkiを取り上げる
JAGはここまで推測済みで、空けておいたJannaとXerathを取り、Pokeと強力な
Disengageを確保
CJEはここで相手がPoke compに転換したため、非常に強力なフロントラインでありswap
してもFarmできるMaokaiと、序盤のレーニングに強く、そしてdisengage compに対して
J4とMaokaiのみでは難しいInitiateを助けられるNamiをPick。
※補足だが、CJEの2ndPickの際、おそらくCJEの誰かが2ADC-Compを提案したのであろう
、Pick画面にEzrealとBlitz、そしてKalista、Tristanaが現れた。siegeやtower
diveによって、マップにプレッシャーをかけた上で集団戦を誘う作戦だったと思われる。
実行しなかった理由だが、この時点でJannaが見えていて、おそらく相手のJunglerは
Early gameに優れdisengageに長けたLee Sinであること、GBMというXerathを得意とす
るプレイヤーが、JannaとLeeのvision controlによってファームを確保するだろうとい
う二点から、中盤のDragonfightやJungle内での戦闘の際に強力に作用し、Corkiの
PowerSpikeを潰してしまう可能性があったためだと思われる。他にも、JAGのADCが見え
ていないため、Pushに優れたChamp(この場合Kalista、Gravesなど)とXerathによって
タワーに強くアプローチをかけられてしまうことなどが懸念されたかもしれない。
そしてJAGはKalistaとLee SinをPick。Kalistaの理由だがSivirでは中盤J4とMaokai
に潰されやすく、GravesよりもKitingおよび中盤以降のDPSに優れているためだと思われ
る。
Lee Sinに関してはお互い予想、計画通りである。
読みが当たった形のCJEは、すぐさまLast PickにJayceを選んだ。
こうしてCorkiと共に2Pokeの形を取りつつも、中盤のTeamfightにおいて非常に強い構成
を組むことに成功する。
2Pokeは中盤のRotateに強力に作用し、Skill dodgeに長けたKalistaへもプレッシャー
をかけられるため、CJEはRed teamの利点を活かしうまくカウンターを当てたと言えるだ
ろう。
だが、主なAPダメージがCorkiというHybrid Champのみであることがネックだ。
そしてPoke/disengage comp、そしてCpt Jack=メカニクスに優れたADCのKalistaとい
う選択は、防御的なチームであるJIN AIRにとってお得意の構成でもあり、集団戦をコン
トロールしやすいという利点が存在する。

以上がBAN/Pickの分析である。LCKにおいてはこれらの決定に関してアナリスト・コーチの
権限が非常に強く、その基準は詳細に集められたプレイヤー個々人やチームの戦略傾向など、
メタゲーム要素が多い。特にBANに関しては、TargetBANによってOutplayの多いプレイヤーを封じたり、Flex pickになりうるChampをBANし相手のTeam compやレーンを縛ることが多い。

ここからゲーム内容に入っていく。非常に長いので、動画を再生しながら読んでいただきたい。

Jin Air Green Wings vs CJ Entus Game 1, LCK Spring 2015 W5D3

試合内容について

序盤の動きで特筆すべきなのは、JAGの視界に対するアプローチだ。
topではKalistaがWを2匹川に放っていて、botでは自陣側三角bushにPink ward。
そしてJunglerは両サイドのcrabを狩り、相手側のmid脇にTrinketを刺した。
これらの行動によって、Lv6以前のgankに対してサイドレーンが脅威に晒されることなくレーニングを進めることができた。
結果として、Jarvanは試合時間9:30にLane assignを戻すまで、midへの無理やりなUlt gank1回を行い、GBMのFlashを落とすに留まったのである。

その後は順当にObjectの交換が行われ、JAGは1stDragonを確保、botとtopの1st towerを折り、CJEは敵青buffとmid 1st towerを獲得。
中盤に差し掛かるところで、お互い次のDragonのための準備に入っていく。
JAGはstealに近い形でこの2ndDragonを獲得したが、ここでの重要なポイントはふたつ。
ひとつはGBMが2度のgankを受けながらもdeadせず、towerを失ってもmid脇にwardを置いていたこと。これによって、Dragon前にwardを刺す際の危険を減じ、JunglerとSupportが安全にward/dewardをすることができた。
もうひとつは、CJE Shyが自陣mid 1st towerにTeleportしてしまったことだ。
GnarはDragonの内側にTeleportし、Dragon裏からのプレッシャーを活かしStealに助力したが、これがもしMaokaiが先にDragon前にTeleportしていたなら、また結果は変わっていただろう。

その後、CJE Ambitionは2つのミスをする。
十分な視界のないところで、Kalistaを不用意にPick-upしようとしたこと。これによって1deadし、mid 1st towerを献上してしまう。
その後、Dragon spawnまで1分のところでbot側のRiverでNamiがいないにもかかわらずふらふらしていたこと。XerathのPoke、そしてFlashを落としてまで飛び込んだLeeSin、そしてXerathのUltによる追撃によってRecallを余儀なくされ、Shyに少し早すぎるTPを落とさせてしまった。
一方、JAG Chaserも無理やりにDragonをStealしようとして捕まりdead。
ここでCJEはBaronに走る。Dragon前で視界の奪い合いをしたことでWardingされていないであろうこと、敵Junglerが死んでいるためほぼStealされないだろうということからの判断だが、即座にこれを決断し実行したことは素晴らしいと言えるだろう。
それによってBaronと、CJE Cocoの素晴らしいSnipeによってJAG CheiのJannaをkillすることに成功し、Baron buffを活かしbot 2nd towerまでを手に入れることとなる。

そして4つ目のDragonでもDragon fightが起きるのだが、先ほどとは打って変わってJAGは視界が不利な状態から仕掛けてしまい、Gnarの素晴らしいUltが3人に入ったにもかかわらず反転を許し、集団戦に負けてしまう。
この時、前段階でCJEはDragon前のWardを全て消していて、なおかつMid横bushと敵RaptorにしっかりとWardが刺さっていた、それによって敵の陣形が常に見えていてそこにMaokaiは後ろから挟む形でTP、Homeguardによって戦線へ駆けつけることができた。

その後、Baron前の小競り合いでJAGはKalistaが素晴らしいポジショニングからkillをもぎ取り、CJEはビルドによって視界が限られていることを利用しCorkiがソロでDragonを確保。

またもBaron前でにらみ合いの状況が続き、マナが尽きたMaokaiがRecall。
CJEとしては4v5で、相手のWardに映った状態でBaronを殴りengageを誘ってMaokaiがTPで戻ってくる作戦までは良かったが、GAを積んだGnarをfocusしている間にAmbitionがdeadしてしまう。
逆に完全な4v5の状況を作り出したJAGは、mid 2nd towerへラッシュ。相手にRecallを強要し、タワーを折ったあとすぐにBaronへ。
この時、MaokaiとGnarは共にlow healthだがGnarにはTPがあり、NamiにはManaがなかった。
更にはbotにbig waveが作り出せており、放置すればbotのtowerを3rdまで折ろうかというプレッシャーを与えている。
完全な数的有利を作った、minion controlも含め素晴らしいRotateにより、BaronのHealthを削っていくJAG。
そして、ついにはCocoがGnarとXerathの連携によって倒されてしまう。
だが、Baseから急いで駆けつけたMaokaiとNami、Healthを削られながらもしっかりとPokeしていたCorkiがBaron裏の視界の薄さを活かしLee/Kalista/Jannaをkill。
Baronを阻止したCJEはその後Dragonに走り4stacksを獲得。

そしてminion control、CJEはbotとtop両方をしっかりとpushレーンに作り、すさまじいPokeでXerathのHealthを削り、敵をRecallさせBaronを得る。

Baron buffによってmid 2nd towerを折ったCJEは5stacksのDragonへ、JAGはそれを阻止に向かう。
ここの集団戦において勝敗を分けたのは、JAGのまさに集団戦の手本とも言うべき動きであった。ひとつひとつを書き出していく。
・LeeがDragonの内側に入りStealのプレッシャーを与える。これを見たCJEは反転。
・Jannaがultを残してlow healthになり、J4のultを使わせる。そしてKalistaのultによって退避。
・その間、前線で合流したLeeとGnarがゾーニングし続けている。LeeはFlashを使ってまで正面へ合流している。
・Gnarはゾーニングを続けるが、Maokaiがそこに飛び込んでくる。
・ここで敵carry陣をMega Gnarになって弾き返せることを確認。
・JAGは、LeeのultによってMaokaiをJannaに向かって蹴り、JannaのultによってまるでバスケットボールのようにCCチェイン、全員でfocusしMaokaiを落とすことに成功する。
・そしてMega GnarはFlash→Ultに3人巻き込みJ4とJayceを壁に叩きつける。KalistaとXerathによって一瞬でJ4をkill。

敵5dragonを阻止したJAG。ここでtopのbig waveによって2nd towerを折っていることも重要だ。
そしてbotもGnarがレーンに触れ、pushレーンを作っている。
下準備を整えたあと、Maokai/J4がupする前にmid inhibitorを破壊。
その後botのminion waveを処理しなければならないためCJEがJ4をbotに送ったのを見て、topにgroup。敵jungleをwarding。
J4がmiaし、Recallを察知したJAGはまたもGnarをbotに送りpushレーンを維持。
そしてmidはsuper minionが、botとtopはbig waveがpushする完璧な状況を作り出したところでBaronが湧く。
睨み合いを続けるが、botのwaveを処理するため、CJEはTPのあるMaokaiをbotに送る。
dewardさせる代わりに時間を使わせたCJEは、topのminionもMaokaiに処理させ、JAGを誘い込む。
Maokaiの最高のTPによってengageしたが、またもXerathとKalistaの素晴らしいポジショニング、JannaのperfectなQとUlt、GnarのFlash→UltによってMaokaiが耐え切れずdead。
集団戦に勝ったJAGはBaronを獲得。しかしここでCJEはDragonに走り、Baron vs 5Dragonという構図になる。

JAG側mid inhibitor前で見合っている間に、botのbig waveが押し寄せてきたためJAGはLeeがその処理に向かう。
それを見たCJEはTalismanのActiveによってInitiate。Xerathを捕まえることに成功するがJannaとGnarによって仕切り直されてしまう。
前線に出て削られたJ4をXerathがUltで狙い撃ちし5v4。
JAGは敵bot側jungleをwardingしながら復活しているInhibitorを再度破壊。

そしてJAGにとっては4、CJEにとっては2回目の5stacksのDragonが湧く。
やはりこの時も、JAG側がtopにbig waveを作り出しており、睨み合うだけでtop inhibitorまでも折れるかという状況である。

Gnarの変身が解けた瞬間にMaokaiが敵フロントラインを抑えこみ、CJEは5stacksを再度獲得。
しかしJ4のUltも虚しくdisengageされてしまう。
そしてその間にtopの3rd towerがbig waveによって破壊される。
このまま行けばInhibitorへプレッシャーをかけられると判断したJAGはJannaのUltでHealしながらBaronを開始するも、MaokaiのTPによって中断。削られた状態で引いていく敵を見てCJEはBaronを殴りBait。だがそこにフルヘルスのGnarがTPで駆けつける。
ここの集団戦ではLeeのJayceを射程から追い出したKickがMVPだろう。
そしてXerathとKalistaの徹底したFocusによってMaokaiをkill。
集団戦をcloseせざるを得ないCJE。
だが、ここで最も重要なのは完璧なminion controlだ。
topとbot、両方をpushレーンにした状態で時間を使わせ。top inhibitorとbot 3rd towerを破壊している。
Maokaiがdownしていて、Baseでminionを処理しなくてはいけない、それによってStealの危険なくJAGはBaronを手に入れることに成功。

Recallの後、Baron buffを持ってbotにgroupし、3つ目のinhibitorを破壊。そしてRespawnしたmidのinhibitorも破壊し、全レーンがpushできている状態でmidにRegroup。
だがMaokai/J4のCCチェインによってLeeSinがdead。かろうじてNexus tower2本を割り切ってJAGはcloseし、逆転の芽を摘むべくDragonを確保する。

そして再度復活したTop inhibitorへ走るJAG。
ここでJayceのGateとTalismanの加速によるInitiateをJannaのQによって回避したことによって、super minionの処理を強要し安全にBaronを手に入れる。

bot inhibitorに圧力をかけるJAGだが、激しいPokeによってinhibitorを破壊することなくRecall。
まもなく湧くお互いにとっての5stacks Dragon fightによって勝敗が決するかと思われた。
しかしここでNamiがbot Riverに体を晒してしまう。
それを見た瞬間にLeeはinsec kick。NamiはFlashを切るもXerathのEにあたってしまいDead。
5dragonを取られれば間違いなく敗北しかないCJEは4v5 fightを敢行するが、ここでも徹底したPeelとMaokai focusによってMaokaiが倒れ、JannaのFlash ultによってJayceが倒れる。
No deadのJAGはNamiが復活する前にNexusへと直行し、あわや80分というロングゲームを制した。