2015年10月2日金曜日

WCS PICKUP:Day1 CLG vs FW

ついに開幕したLoL Worlds 2015。
初日の試合結果およびMatch history、VODはLoL Esportsに掲載されているので参照していただきたい。
何回書けるかは不明だが、日程ごとに、各試合の簡単なまとめとピックアップした一試合の解説をしていきたいと思う。
今回は、最も期待されていたNAの伝説的チームCLGと、韓国ラダーをBerserker(AS靴)初手VayneというNew metaでChallengerに駆け上がったKkramerを要する台湾の強豪yoeFWの試合について。
長くなるので、先にその他の試合の簡単な総括をしていこう。

Game1 Fnatic vs Invictus Gaming

IGのLane Swapに4man pushという解答を見せたFnaticがRivenのPowerSpike、SkarnerとAsheのInitiateをRotationで封じ込め快勝。

Game2 Cloud9 vs ahq e-Sports Club

3Hyper Late Carry構成のC9は序盤をどうしのぐかという試合だったが、LeeSinがMapを掌握し、TrisがTowerにプレッシャーをかけ、MorganaとVeigarでCatchして時間を作るというシナジーに溢れた戦いを見せた。押し込まれたahqが焦りから無駄なBaitなどミスを繰り返し、24分でNexusが破壊され決着、C9の勝利となった。

Game3 SKT T1 vs H2k

RyuがLeBlancで殺気立ったプレイを繰り返し、Fakerだけは何度か落とすことに成功したH2kだったが集団戦の練度の差からDragon前でACEを取られてからは袋の鼠。SKTは育ったFioraを中心に無難にSnowballし勝利、格の差を見せつける形となった。

Game4 Edward Gaming vs Bangkok Titans

メタに遅れていても自信のあるPickを、といった様子のBKTが3Jungling/4man gankというユニークな序盤戦略を見せてくれたがPawNはFlashひとつでこれを回避、青バフをカウンターで取りそのままBotで4man diveを決め、結局DeftがFlashを温存したおかげで取れた1kill以外は何も取り返せないままSurrender。大会前には良くない噂が立っていたEDGは完勝でそれを吹き飛ばした。

Game6 paiN Gaming vs KOO Tigers

ブラジルのSKTと称されるpaiNが序盤は自信に満ちた戦いで有利を作ったものの、どこからでもCatchできるKOOの構成に中盤でことごとくしてやられてしまう。Cleanseの反応速度など、キラリと光るメカニクスはあったがKOOがお得意の構成で畳み掛けて結果として見れば圧勝。

詳しい戦いぶりに関してはRebroadcastやVODを参照してもらいたい。質問があればコメントかTwitterまで。
それではCLG対FWの試合に移ろう。VODが隣にあると視覚的に理解しやすいと思うので推奨する。

BAN/PICK

CLGはADCの天敵であり、脆いTop LanerであるSteakの鎧を与えぬようMalphiteをBAN。
韓国では有名なアマチュアであるKkramerと優秀なSupportのSwordArtを警戒しThreshとKalistaもゲームから除外した。
一方FWは、相手がTarget BANを繰り返すためOP champであるMorde、GP、VeigarをBANせざるを得ないといった様子。
心理的状況として、CLGは自信に満ち溢れている。それらOP champ相手にも対策を用意してきていて余裕があるというのがこのBANにも現れていて、FWは逆に相手は格上でありMordeやGPなどを使われれば辛い戦いになるという恐怖にとらわれている。
CLGお得意のProtect Doubleliftに対してFWは強力なAoE/Dive構成を選ぶことになるのだが、AlistarとDarius、分厚い二枚の壁とLuluのUtilityに対して、Trisに完全に依存しきった構成になる。
NLというプレイヤーがいるにも関わらずスターターに抜擢されたアマチュアスターのKkramerは、大きな、大きな荷物を背負うことになった。

In Game

Swap察知のWardを置き、Mechanicsに優れたDoublelift/Aphromooを2v2レーンにぶつけることに成功したCLG。
Xmithie操るEliseはこれ幸いとTopのSteak、脆いGnarを攻める。
Laningでビハインドを背負うFWはCounter Jungleを行うに留めRek'SaiのUltを使ってRotateで取り返す方針のようである。
Eliseが顔を出したことでRecallののちにBotの赤バフに行くと読んだRek'Saiはその間にTopを強襲、Eliseのプレッシャーによって有利を得たレーンを押してしまっていたDariusがKillを取られFB。Gnarに逆に余裕を作る形となった。
Eliseが遅れてやってきたことでBotががら空きになったという情報を得たBraumはDeep wardを設置。
Ultで戻ってくるRek'SaiはTrisにPushを頼み、Raptor buffで視界を取られていないことを確認したRek'Saiは一人でDragonを開始、これを得ることに成功。
Dragonを開始する何分も前からしっかりと準備していたFWの美しいオープニングといえるだろう。
だが、サイドレーンのMechanicsとMidのMelee vs Rangedの差によって生まれるCS差は広がる一方。
この状況を打開すべくRek'Saiは奔走する。TopのMonsterが狩られているのを見たRek'SaiはTopの裏で待機。BotにEliseを発見するとTower Diveを仕掛けDariusのFlashを落とすことに成功した。
なんとかTopのGnarにCSを確保させたがその間にBotが折れてJinxとTrisの差はさらに広がる。
ADCとはぶつかれないためFlashを落としたDariusにもう一度BraumとGnarでDiveをしかけもう1度Killすることに成功、Top Towerを確保したFW。
DariusはLaneを押し返さなければいけない、その隙をついてTrisを使いMid Siege。
FWは1st towerを得るがEkkoの仕掛けに対してAlistarがCounter Engage、お互いNo deadもHealthの差でFWが不利になってしまい、1st towerを守ることと引き換えにGnarがTPを落としてしまう。
これを見たCLGは更にJinxにgoldを集めるためTopに送りTop 1stを折り、FWはTPを落としたGnarがカウンターでBotの1st Towerを折る。
Eliseを捕まえかけたFWだったがRaptorを使ったEscapeで逃げられてしまい、Top側に散開せざるを得なくなった。
TP差を活かしDariusはBotを、それに対応する動きの合間にJinxがMid 1stを折る。
まだまだ育てようとTopのBig waveにJinxが走るが、それを見て即座にFWは2nd Dragonを奪取。
24分にしてBaronに手をかけようとするがバグによって敵のWardが見えず、CLGに動揺が走った。
何故視界がないのにBaronに気づくのか。2度も察知され謎は増すばかりであったがここでPauseがかかりバグであることを確認。Pause解除直後の映像で見るとWardが除去されているので何かいじったようだ。
FWは期せずしてBaron前の視界を取り返す。だが、JinxのHarassによってたまらず2nd tower下まで下がってしまい、またも視界を失う。
Lulu UltとDariusを使って2nd tower前で仕掛けるCLGに対してFWはGnarがカウンター。しかしAlistarのヘッドバットで事無きを得たCLGはGnarのUltがないのをいいことにmid 2nd towerを狙う。
ここでゾーニングをするAlistarが前線にKnock upをかけるとすかさずJinxは敵をFocus。そこにEkkoが飛び込み、JinxがTrisを、EkkoがJinxをKill。Healthが減っていたAlistarもRek'Saiが捕まえ2-1の交換になる。
その後押し込まれたCLGはJinxのGold量によってかかるBaronへのプレッシャーを利用しTopへRotate。ここでKiteして戦おうとするがEliseがHealthを削られTPで飛んできたDariusが孤立してしまう。CCで助けに入ったAlistarもゾーニングしながら倒し、FWはBaronを獲得。
だが集団戦に勝利しBaronまで得たにも関わらず資金差はわずか3k。
Goldに変換し確実に勝利したいFW、全レーンの2nd towerを破壊しようとする。BotのTowerにこだわったDariusを殺した勢いのままFWは雪崩れ込むように攻める。AlistarまでをKillしたFWだったが、前に出過ぎていた前衛をLuluとJinxが逆に攻め立て、Braum、Gnar、EkkoをShut down、Dragonにつなげる。
Tower差を活かしてプレッシャーを作りBaronの前に視界の有利を作りたいFW、しかしJinxのPush、Recallの一挙手一投足に過敏になり後退。
ここで、ついにKkramerの集中が途切れたか、TrisがEliseのEに捕まってしまい、瞬殺されてしまった。1分間もADCが不在のピンチを迎えたFW、Inhibitorを破壊された焦りからか視界のないJungleからFlash WQで飛び出してきたAlistarに動揺、ADCがいないにも関わらずEkkoが飛び込むのに同調して戦ってしまいGnarが入れ替わりで死んでしまう。
4v5が続く焦りでDariusのHomeguardTPに対応できなかったFWは1人ずつ捕まってしまい今度は3v5。何かできるはずもなくSuper minionとSuper Fed JinxによってEnd it。
NA RegionはC9に続き勝利の快挙を成し遂げた。
箇条書きでCLGの勝因、FWの敗因を探ってみたいと思う。

CLG Side

・徹底したJinxへのGold分配

タワーのRewardすらも最大限Jinxに譲るまでの徹底ぶりだったCLGのDoublelift Carry戦略。何よりもPush速度と装備の先行による火力差でMapのどこにいても圧力を生み出していたため、結果としてチーム全体がMapを押し上げることができた。

・潤沢なWard量

Luluは途中でLensからTrinketに買い替えている。これによってLanerが4ward+2vision、JunglerとSupportも足して10ward4visionを常に確保していた。
結局FWは常に自陣のWardを消しながら押し返していたため攻めるWardを置きに行くことがままならず、うまく攻めきれなかった。

FW Side

・確定CCの不足

一見AoEのHardCCで固められる構成に見えるが、全てモーションが有る上に地点に対して発動するために追いつけなければ何の意味もなさないという欠点を抱えていた。本来であればGloryを購入して対処する問題だったがそうしなかったために最後までJinxに届かずフリーで殴られてしまった。

・Laningの弱さ

TopのSteakはLaningもGank察知も苦手なとても脆いLanerだ。彼をどうにか中盤までごまかすためにJunglerは常にTopを気にかけなければいけなかった。そのため常套手段であるはずのJinx潰しが行えなかった。特に放っておけばFed Dariusが出来上がるのを避けられない状況は、先も述べたように確定CCがないチームにとっては対処不可能になるため避けたかっただろう。
EliseのCatchに怯えながらDiveは得意でもDiveされることは得意ではないTrisとEkkoはwave clearを行っていた。
Mechanicsでそう離されていないにも関わらず中盤で全レーンがCS差をつけられていたのはそれだけの負担がかかっていたということである。

・Kkramerにかかる重圧

韓国ではアマチュアスターにすぎなかった彼に「はい、このチームCarryしてね」という構成の中Doublelift、そして経験値の差があるCLGと戦わざるを得なかった。その結果Damage重視のPDShivビルドを進め、EliseのEに一度引っかかっただけでチームを負けに導いてしまった。
これはすぐに解決は不可能な問題だが、精神的負担を取り除きゲームの中でPerformanceを維持するという方向での改善はできるだろう。